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企業家の馬芸珈伊氏。貴州省六盤水市水城区政府とのトラブルで、一時は身柄を拘束された=中国メディアから
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 「以刑化債(刑罰をもって借金を帳消しにする)」

 地方の小都市で起きた事件がきっかけで、こんな言葉が中国全土に知れ渡った。

 借金を背負った人が罰を受ける、ではない。逆だ。借金をした方が、貸した側に刑罰を科すことで片をつけるのだという。理不尽だらけの事態は、貴州省六盤水市水城区、人口約62万人の街で起きた。

 貴州省はかつて「中国で最も貧しい省」とも言われた。貧困人口が多いためだった。

 その貴州省だが、2010年代の経済成長率は、中国経済全体の成長率を毎年2~6ポイントも上回ってきた。高速成長をなしとげた原動力は、各種公共工事などの投資を繰り広げたことだ。貧困対策の住宅のほか、学校建設にリゾート地の開発も進んだ。

 ただし、この投資は地方政府が借金をしながら進めてきたものだ。つくった施設が収益を生めなければ、債務がそのまま地方政府の財政にのしかかる。六盤水市の水城区も、ご多分に漏れなかった。

 少数民族出身の女性企業家、馬芸珈伊氏は今年初めに報じられた時点で47歳。馬氏の企業集団は水城区政府側が発注する幼稚園や学校、リゾート建設など10のプロジェクトを請け負っていた。ホテルや、小さな街にふさわしいとは呼べない自転車サーキットコースの建設にも数億~10数億円規模が投じられる計画だった。

 ところが、馬氏の側と発注した区政府側に、トラブルが生じる。

払われない工事代金、企業家がとった道は

企業家が地方政府から受けた理不尽な仕打ちは、中国で大きな関心を集め、中国が抱える課題も浮き彫りにしました。

 問題は、そのプロジェクトの…

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